朝起きたら「首が痛い」「首が曲げられない」「首が動かない」という、いわゆる寝違えは誰でも1度くらいは経験があるでしょう。人によっては、頻繁に寝違えを起こし、首の動きが制限されて困っている方もいますね。3~4日は自由に首を動かせないので、日常生活にも支障が出てしまう寝違え。痛いのは首ですが、原因は首ではなく、意外なところにあるのです。そこで今回は寝違えの意外な原因と、すっきり治す方法をご紹介します。
寝違えの原因は「ワキ」にある
寝違えの原因はあまり知られていないので、寝るときの姿勢が悪くて首を痛めてしまうと考えられがちですが、実は寝違えの原因はワキにあります。
なんと寝違えの原因はワキにある腋窩(えきか)神経を圧迫することで起こっています。
腋窩神経とはワキを通っている神経で、頚椎の上から5番目と6番目から枝分かれしている神経です。つまり首と繋がっている神経というわけです。
腋窩神経の役割は、肩の外側の感覚を伝えたり、「三角筋」「小円筋」を動かす指令を送ることです。
腋窩神経を圧迫する原因
寝るときに仰向けやうつ伏せの状態であれば腋窩神経を圧迫する心配はありませんが、横向きで寝ている場合は、下になった方の体と腕で腋窩神経を圧迫して腋窩神経障害を起こしてしまうのです。
一般的には、腋窩神経障害を起こす前に、寝返りをうって圧迫をさけるなど、体が自然に動いてくれるのですが、疲れがたまっていたり、たくさんのアルコールを摂取していたり、睡眠不足だったりすると、眠りが深く、体が自然に動かなくなるために腋窩神経障害が起こってしまうのです。
寝違えを治す方法
寝違えは何もしなくても、通常は3~4日ほどで痛みもひき、首の可動域も正常に戻ることがほとんどですが、ひどい場合には1週間ほどかかる場合もあります。そんなつらい寝違えを治す方法をご紹介します。
ストレッチ方法 1
1.痛みのある方の腕をまっすぐ後ろに伸ばす
2.少しずつ腕を上げて、自然に止まるところで20秒キープする
ストレッチ方法 2
1.痛みのある方の腕を腰の後ろに当てる
2.ひじを後ろに引いて20秒キープする
ストレッチ方法 3
1.痛みのある方の腕を上げ、二の腕と床と平行になるようにする
2.ひじを120度に曲げる
3.そのまま腕を後ろに引いて20秒キープする
ストレッチ方法1~3は、すべて2セットずつ行いましょう。
マッサージは逆効果
寝違えて首が痛くなると、つい首や肩をマッサージしてしまいますが、寝違えているときに、直接痛みのある部分をマッサージすることは逆に寝違えが悪化する場合があるのでNGです。また、首を無理やり動かそうとすることも同じような理由からNGです。
寝違えの場合、筋肉が炎症を起こしていますから、マッサージをしたり、無理やり動かすことで悪化させる可能性があるので、あまり動かさずに筋肉を休ませるようにするのが正解です。
あまりにも痛みが強すぎる場合には、市販の鎮痛剤を服用することも効果的です。
寝違えが治るまではシャワーのみで
寝違えは筋肉が炎症を起こしている状態ですので、冷やしてあげるのが正解です。
お風呂に入ると痛みが和らぐようなイメージはありますが、お風呂に入り、血行が良くなることで、寝違えが悪化したり、症状が長引いたりしますから、極力お風呂は控えるようにしましょう。
ただし、お風呂に入らないわけにはいきませんから、湯船に入らずにシャワーのみで済ますようにしましょう。
体を温めないことが寝違えを早く治す方法のひとつです。
寝違えを起こさないためには
寝違えてからストレッチをして解消するよりも、できるだけ寝違えを起こさない眠り方をするのがベスト。寝違えを起こさないためには、「眠るときの姿勢に気をつける」「自分にあった枕を選ぶ」「ストレスを解消する」「普段から運動をする」というのがポイントになります。
体を横向きにして寝ると、腋窩神経が圧迫され、寝違えの原因となりますから、寝るときの姿勢はできるだけ仰向けを意識しましょう。仰向けで眠ることは寝違えを予防するだけでなく、骨盤のゆがみの矯正にも効果があるので、O脚の改善効果や生理痛やPMS改善効果もあります。
枕の高さは、仰向けに寝たときに、首の骨に沿うものがベストです。最近ではより良い睡眠を得るために、自分にあった枕をオーダーメイドする方も増えているようですが、どうしても費用が高くなるので難しい場合もあります。わざわざオーダーメイドしなくても、タオルを丸めて枕の高さを調節しても、寝返り予防に効果があります。
強いストレスを感じたり、忙しい日々に追われていると、神経が興奮状態になり体がリラックスできずに緊張状態に。この緊張が日常的に続くことで、眠っている間にも首に負荷のかかる状態になってしまいます。眠る前にはアロマでリラックスしたり、楽しいことを考えながら眠るようにすると意識してみましょう。
また普段から運動不足だと、体をひねったり、少し無理な動きをしただけでも痛みが出てしまうことになります。それを防ぐためにも、日頃からエクササイズやストレッチなど、体を動かすことを意識してみましょう。