風邪や花粉症などで鼻をかむことは多いですが、鼻の正しいかみ方をご存知でしょうか。間違った鼻のかみ方をしていると、鼻血が出たり、耳が痛くなったりするだけでなく、恐ろしい病気につながってしまう可能性もありますから、鼻を頻繁にかむ方ほど、正しい鼻のかみ方をしっかり覚えておきましょう。そこで今回は、正しい鼻のかみ方をご紹介します。
鼻水が出る理由
鼻水が出る理由にはいくつかありますが、大きく分けると4つあります。
1.アレルギーによるもの
花粉やダニなどのアレルゲンが体内に入るのをサラサラの水のような鼻水で体外へ流しだそうとします。アレルギーで鼻水が大量に出る場合は、害でないものに過敏に体が反応してしまっているので、薬を服用して鼻水を止めても問題はありません。
2.風邪などによるもの
風邪などのウイルスや菌を吸い込むと、アレルギー同様にサラサラの水のような鼻水でそれらを体外へ流しだそうとします。体にとって害となるものを体外へ排出するために鼻水が大量に出ているので、鼻水を止めるための薬を飲むことは根本的な改善にはなりません。
3.乾燥から守るもの
乾燥から守るため、1日約1Lもの鼻水が出ています。ただこの鼻水の大半は喉へ流れていっています。
4.体温調節機能によるもの
寒いときに鼻水が出る経験は誰でもありますが、これは体温調節機能によるものです。
冬の冷たい空気を体内に取り込むときに、できるだけ空気を暖めてから体内に入れる働きが鼻にはあります。鼻腔内の毛細血管を広げて空気を暖めているのです。このときに鼻水を分泌する腺にも多くの血液が集まることになるので、鼻水が出ることになります。
間違った鼻のかみ方
正しい鼻のかみ方をしている方は意外と少なく、多くの方が間違った鼻のかみ方をしています。多く見られるのが、1度にスッキリさせようと、思い切り力を入れてかんだり、両方の鼻を1度にかんだりです。
鼻をかんだ後の処置にも注意が必要です。
鼻をかんだ後に、ティッシュペーパーを丸めて鼻の奥の方までキレイに拭き取ろうとする方は案外多いですが、これも実は間違った処置法です。
間違った鼻のかみ方をしていると…
両方の鼻を1度にかむと、細菌やウイルスが鼻の奥に入り込んで、副鼻腔炎になる可能性があります。
それから、小さいお子さんに多いのが、鼻のかみ方が中途半端になってしまうというものです。たまった鼻水はしっかりかまないと、鼻の奥に残った鼻水の細菌が増えて、それが流れ込むことによって気管支炎や肺炎などを引き起こしてしまう場合もあります。
鼻をかんだ後の処置として、ティッシュペーパーを丸めて鼻の奥をキレイにする処置法は、細菌がさらに奥に入り込み、中耳炎を起こす可能性があります。
このように、間違った鼻のかみ方をしてしまうと、治療に時間がかかる病気への移行する可能性が高くなりますので、たかが鼻水と軽く考えるのはやめましょう。
正しい鼻のかみ方
1.鼻水を押し出すためにしっかりと空気を吸う
2.片方の鼻を押さえ、数回に分けて鼻をかむ
反対側も同じように行います。
鼻をかむときに使用するティッシュパーパーは、鼻周りの肌への刺激になりにくい柔らかい素材を選ぶようにしましょう。また斜め下を向いて鼻をかむことで、奥に溜まった鼻水もすっきり出すことができます。
鼻のかみすぎによるトラブルと予防法
鼻のかみすぎによるトラブルを経験したことがある方も多いでのはないでしょうか。
鼻の周りの皮がめくれたり、かぶれて炎症を起こしてしまったり、鼻の下に強い痛みを感じたり。これらは鼻をかむ頻度が高くなれば高くなるほど現れやすい症状で、メイクをしても赤みが隠しきれないので、恥ずかしい思いをすることになります。
こういった鼻のかみすぎによるトラブルを予防するためには、柔らかいティッシュペーパーを使うこと、鼻をかんだ後に鼻の下についた鼻水をしっかり拭って、保湿クリームなどをつけておくことです。
鼻はすすってはいけない!
仕事をしていると鼻をかみたくてもかめないシーンはよくあります。
そんな場合によく行われるのが「鼻をすする」という行為です。ですが、この「鼻をすする」という行為は、耳や喉などにいろいろな悪影響を与えてしまいます。
痰になって咳が出る
鼻をすすると鼻水が喉の方へ行き、痰となって喉に絡みます。その痰を出すために咳まで出始め、喉を傷めることになります。
中耳炎を引き起こす
鼻水にはたくさんの細菌がついています。鼻をすすることで鼻の奥や耳に最近のついた鼻水が入り込み、急性中耳炎を引き起こす原因となります。
耳管狭窄症を引き起こす
耳管狭窄症とは耳管の働きが悪くなってしまうことで、自分の声がこもって聞こえたり、耳鳴りやめまい、耳が聞こえづらくなるなどの症状が出てきます。
鼓膜が内壁に癒着する
鼻をすする鼻腔内の鼻水が耳管を通して中耳が陰圧して鼓膜がへこみます。繰り返して鼻をすすることで鼓膜が内壁と癒着しやすくなってしまいます。癒着状態が長く続くと難聴がひどくなってしまいます。
鼻をすするとこういった怖い病気を引き起こす原因にもなりますから、鼻は極力すすらず、席を外して鼻をかみに行くなどしましょう。