口の体操である「あいうべ体操」を知っていますか?様々な病気を予防するだけでなく、美容にも効果があるとして、今注目されている体操なのです。インフルエンザが激減したことでも知られる「あいうべ体操」の効果と、そのやり方について詳しくご紹介します。
「あいうべ体操」とは?
九州・博多にあるみらいクリニックの今井一彰院長が考案された口の体操です。特別な道具も必要なく、どこでも誰でもできる体操として、注目を集めています。この体操は、薬に頼らず、体が元々持っている自然治癒能力を高めてくれる体操なのです。
あいうべ体操の効果や効果があった病気
あいうべ体操をおこなってから、鼻の通りがよくなり、いびきをかかなくなった、また口内炎が治り、便通がよくなったといった感想が多くありますが、今井先生が患者さんに実践してもらい、実際に症状が改善した病気には次のようなものがあります。
アレルギー性疾患
花粉症やアレルギー性鼻炎、気管支喘息などの呼吸器系疾患、アトピー性皮膚炎や慢性じんましんなど皮膚疾患
リウマチ、膠原病
関節リウマチやパーキンソン症候群、筋炎など
消化器系の疾患
胃炎、大腸炎、便秘、痔、クローン病など
精神的な疾患
うつ病の改善、不眠症、パニック障害
口腔改善
顎関節症、ドライマウス、歯槽膿漏や虫歯の改善
さらに小学校でこの体操を実施した結果、インフルエンザが一気に減ったことでも話題になりました。
あいうべ体操がもたらす効能
あいうべ体操をしただけでこんなにも体に影響があるなんてと、納得できないかもしれません。あいうべ体操をすることで、体には以下のような変化が現れるのです。
舌の位置を正しくする
口を閉じたときに、舌は上のあごについている状態が正常な位置です。しかし舌が下がっていると、十分な唾液が分泌されず、口は渇いた状態になります。そうすると外部から侵入してきたウイルスや菌を追い出すことができません。また虫歯や歯槽膿漏など、口の中のトラブルが起きやすくなります。
鼻呼吸への改善
普段鼻ではなく口で呼吸する人が増えてきています。またきちんと口を閉じられず、口が無意識に開いている状態の人も若い人を中心に増えてきています。口呼吸をしていると、様々な弊害があります。
口呼吸がもたらす健康被害
・唾液が減る
・口内炎ができやすくなる
・病原菌やウイルスが入り込みやすくなり、風邪などを引きやすくなる
・免疫力が落ちやすくなる
・食べ物を食べる力が衰える
・便秘になりやすくなる
・あごが弱くなる
そのほか、口呼吸では浅い呼吸になってしまい、十分な酸素が体に行き渡りません。酸素不足により、集中力が低下し、血行が悪くなることによる代謝の低下や免疫力が低下することで様々な病気の原因ともなります。このように悪影響の多い口呼吸から、自然に鼻呼吸ができるようになります。
血行を改善する
脳に送る血行を改善するため、脳にマッサージをしているような効果が得られます。ストレスを解消するほか、不眠を改善し、認知症予防にもなります。
あいうべ体操のやり方
あいうべ体操は4つの動きを繰り返します。声は出しながらしてもいいですし、無理に出さなくても問題ありませんが、動作はすこし大げさなぐらいにしたほうが効果的です。
1.「あ」
口を大きく開き、「あー」の形にします。できるだけ大きく口を開けましょう。
2.「い」
口を大きく横に広げ、首が張るぐらい力を入れます。
3.「う」
口を前に突き出します。力を入れ、強く前に出すようにします。
4.「べ」
舌を突き出します。あっかんべーの「べー」のイメージですが、舌の先があごの先に届くようなイメージでしっかり伸ばしましょう。
1から4を1セットとして、1日に30セットおこなうことを毎日続けましょう。簡単なように見えますが、実際にやってみるとかなりあごや首、顔に力がかかるので30回を一度にするのは難しいかもしれません。
最初のうち、慣れるまでは2回、もしくは3回に分けてやってみましょう。慣れてきたら一度に30セットやるようにします。痛みを感じる場合は無理をせず、できる回数から始めるようにします。特に顎関節症の人は、口を大きく開けることが難しいので、「い」と「う」を多めにし、「あ」と「べ」は痛みを感じない程度に減らし、だんだんに回数を増やすのがおすすめです。
あいうべ体操をするときに注意したいこと
・リラックスし、集中できるときにする
・薬を服用しているときには、食後や薬を飲むときにおこなう
・短期間では効果はでないので、最低でも3週間は継続する
・始める前に舌の位置を確認してからおこなう
・子供がするときには、保護者がつき確認してあげる
口腔ケアチャンネル
寝ているときに口呼吸になるのを防ぐ
あいうべ体操を日課にしていれば、段々口呼吸は改善されますが、睡眠時には口呼吸になることが多くあります。口呼吸をしながら寝ていると、口が渇きやすく口の中の衛生状態も低下しますので、寝ているときには口テープをするようにしましょう。
口テープとは
医療用のサージカルテープや、絆創膏を口に貼り、無意識に口を開けて寝ることを防ぐ方法です。テープにかぶれやすい場合は、テープを重ねて接着面をなるべく少なくして口に貼りましょう。
口テープの方法
1.テープを5cmほどにカットする
2.唇の中央に縦向きに貼り付ける
3.朝起きるまで貼っておく
強く貼る必要はありませんが、あいうべ体操をしながら、毎日貼るようにしましょう。鼻の詰まりがあるときには無理をせず、少しずつ口呼吸から鼻呼吸に改善していくことが大切です。