急におなかが痛くなって下痢になったら、「何か悪いものを食べたかな?」と食あたりを疑うのではないでしょうか。食あたりは下痢だけではなく他の症状が伴うことが多いのです。そんな食あたりが疑われる症状が出たとき、病院を受診せずに自分で治そうとする方も多いですね。そこで今回はそんな食あたり症状が出たとき自宅でできる対策をご紹介しましょう。
食あたりとは?
食あたりと同じように使われる「食中毒」という言葉、この2つは別物ではなく同じ意味です。
食中毒は医学用語で、医学用語に食あたりは存在しません。
食あたりとは、食べ物に付着している細菌やウイルス、化学物質や暴飲暴食や冷えなどによって、下痢や嘔吐などを引き起こす症状をいいます。
食あたりの症状があらわれるまでの潜伏期間としては30分から8日ほどありますから、食あたりを引き起こす細菌によっては、まさに「忘れたころにやってくる」のです。
つまり潜伏期間が長い細菌が原因で起こる食あたりのケースでは、原因がわからないとされることも多いです。
食あたりを引き起こす細菌として主なものといえば、「サルモネラ菌」や「カンピロバクター」です。
サルモネラ菌は人だけでなく家畜の腸内、犬や猫などのペット、河川など広く自然界に生息しています。少量でも食あたりを発症し乾燥に強いという特徴をもっています。
サルモネラ菌がついている食品は、食肉や卵です。調理した人からの二次感染もありますから、食肉や卵を触ったらしっかり手を洗い二次感染を防ぎましょう。
卵かけごはんなど生卵を食べたことが原因でサルモネラ菌に感染し、死亡した例もあるくらい怖い細菌です。免疫力が低下していたり、抵抗力の弱い小さな子供やお年寄りは特に注意が必要です。
サルモネラ菌の潜伏期間は6~72時間ほどです。
カンピロバクターは家畜や家禽の腸、生殖器に感染する微生物です。カンピロバクターがついている食品として多いのが鶏肉です。サルモネラ菌同様、調理した人からの二次感染もあるため入念に手洗いをしましょう。
食あたりが疑われる症状
食あたりが疑われる症状はその原因によって多少の違いはあるものの、主に「嘔吐」「腹痛」「下痢」「発熱」です。
暴飲暴食による食あたりは、腹痛だけ、下痢だけ、といった感じで症状がひとつだけというケースも多いのですが、細菌やウイルスなどによる食あたりはすべての症状を併発するケースが多いです。
例えばサルモネラ菌による食あたりは、吐き気や嘔吐から始まり、数時間後に腹痛と下痢が起こります。38度以上の高熱が出ることも多い食あたりになります。
このような症状が起こるのは、体の中で増えてきた細菌やウイルスによって胃腸の消化機能が低下すること、菌が出す毒素が原因となっています。
これらの症状は個人差がありますが、数日から1週間ほど続きます。
「嘔吐」「腹痛」「下痢」「発熱」が起こったときには食あたりが疑われますからきちんとした対策が必要となります。
セルフケアとして自宅でできること
食あたりの症状が軽度であれば、自宅でセルフケアを行い回復させることが可能です。
下痢や嘔吐が続くと気を付けなければならないのが脱水症状です。下痢、嘔吐が続くと、体内の水分やミネラルが失われていき、その状態が続くと代謝が低下し、色々な器官に不具合が起こります。
それを防ぐため安静にしながらこまめに水分補給を行いましょう。
下痢や嘔吐の症状が強いときは、たくさん飲むと胃や腸が刺激されて症状が悪化しますから、水分補給をするときにはごく少量ずつ摂取するようにしましょう。
やってはいけないセルフケア
食あたりをセルフケアで対応しようとする方は多いですが、間違ったセルフケアでは症状が悪化して大変なことになるケースもありますから注意しましょう。
食あたりの辛い症状を緩和するため、市販の下痢止めや吐き気止めの薬を服用する方がいますが、これらの症状が起こるのは体内に入り込んだ細菌やウイルス、化学物質などを体外に排出させるための、体に備わっている反射機能です。
それを、薬を使って症状を抑えてしまうと、体内に長い間毒素が排出されずに残り、食あたりの症状を長引かせたり悪化させてしまいます。
食あたりの症状が出ているときには、自己判断で薬を服用しないようにしましょう。
受診のタイミング
食あたりの原因によって、自宅でのセルフケアが難しいケースもあります。
細菌が原因の食あたりによっては命に係わることもあります。抵抗力が落ちていたり、1日に下痢や嘔吐が10回以上ある、血便が出たときには、セルフケアで様子を見るのではなく、早急に病院を受診しましょう。
食あたりを予防するには
食あたりの原因は細菌やウイルスだけでなく、暴飲暴食など生活習慣によっても引き起こされます。
食あたりを予防するには生活習慣を見直しましょう。
暴飲暴食を防ぐ
暴飲暴食によって胃腸に負担がかかると消化不良を起こすので、食あたりを引き起こしてしまいます。できるだけ腹八分目を意識しましょう。
下痢をしやすい食事を控える
脂っこい食事や香辛料など刺激物の入った食事は、蠕動運動を刺激して下痢を起こしやすくなりますので、なるべく控えるようにしましょう。
体を冷やさない
体が冷えると、胃腸の機能が低下し下痢を起こしやすくなります。冷たいものを飲み過ぎたり、おなかを出して寝ないなど冷えに注意しましょう。