今や日本人の20%が発症していると言われる花粉症。身近な存在ですが、詳しい症状や原因をご存じでしょうか。花粉症は命に関わるものではないものの、一定期間続く辛いものです。そのままにはせず、少しでも症状を軽くできるよう工夫してみましょう。
今回は花粉症のメカニズムと対策法を紹介します。
花粉症のメカニズム
花粉症は、体内に侵入した花粉を異物として認識し、過剰に反応してしまうアレルギー反応です。異物を過剰に体外に追い出そうとするため、くしゃみや鼻水が何度も出ます。
花粉を吸い込むと、異物に対応するためリンパ球がIgE抗体を作り出します。このIgE抗体が肥満細胞にくっついて、花粉が付着してしまうと、ヒスタミンが分泌されます。ヒスタミンの作用によって、くしゃみ・鼻水・目のかゆみ等が生じる仕組みです。
そのため花粉症の薬は「抗ヒスタミン薬」。花粉に対し、過剰に反応し、ヒスタミンの分泌を抑制するお薬といえます。
花粉症で起こる症状
花粉症の症状は人によりさまざまといえます。どの症状が現れるかは人それぞれで、体調やアレルギー反応の強さも左右されます。また、花粉以外のアレルギー反応でも同じような症状が出ます。
・目のかゆみ
・くしゃみ
・鼻水
・鼻づまり
・顔や首など露出している部分の肌のかゆみ
・倦怠感
・集中力の低下
・頭がぼーっとする
・微熱
特にひどくなりがちなのが、鼻水とくしゃみです。鼻を噛みすぎて鼻が赤くなったり、ヒリヒリと痛むことがあります。対策をしないと常に症状が出るため、イライラしたり思考能力が落ちる原因にもなります。
花粉症と風邪の違い
長く続く
風邪なら栄養を摂って安静にしていれば、1週間程度で治ります。しかし、花粉症の場合は原因物質の飛散中ずっと続きます。どの程度の飛散なのかにより症状が出るかについては、人により異なりますが、原因物質のハイシーズンに2-3か月続く人が多いでしょう。
アレルゲンとしてメジャーなのは、春先のスギ花粉と秋口のイネ花粉です。この時期はマスクをして通勤している人をよく見かけます。
鼻水がサラサラ
風邪をひくと、ネバネバした色のついた鼻水が出ます。花粉症はサラサラとした透明の鼻水が”とめどなく”出ます。花粉の飛散量が多い日だと、一日中止まらないことも。学校や職場で鼻水を処理するのが大変ですよね。
目のかゆみの有無
風邪では目がかゆくなることはありません。花粉症は高確率で目がかゆくなります。もちろん反応の仕方は人それぞれなので、人によっては目に症状が出ないこともあります。
花粉症の症状を緩和する対策法
薬を服用する
花粉症の症状は抗ヒスタミン薬で抑えることができます。鼻水やくしゃみなどを穏やかにします。花粉症が初めて発症した場合は、一度病院で診察してもらってから体質に合う薬を処方してもらいましょう。体質に合う薬が分かれば、ドラックストアや薬局でも購入が可能です。
内服薬は症状がかなり軽減します。忙しい人やこまめに対策できない人はもちろん、長時間症状を抑えたいときに最適です。
目薬をさす
花粉症は目がかゆくなります。適度な目薬は目のかゆみや充血を穏やかにします。目薬はたくさんの種類がありますが、アレルギー用の目薬を選びましょう。病院で処方される目薬の方が効き目が強いです。
マスクの着用
花粉シーズンになると、マスクをしている人が多くいます。花粉症対策の基本は「花粉を吸い込まない」、「花粉が皮膚に付着しないようにする」ことです。花粉を取り込みやすい鼻と口をしっかりガードしましょう。マスクはこまめに取り替えられるよう、複数枚持ち歩きます。
花粉症に悩む人が増加したため、様々な種類のマスクが売っています。鼻パッドでメガネが曇りにくい構造のマスクや、メイクがつきにくい素材のマスクもありますよ。
出入り口で花粉を落とす
職場に着いた時、家に帰り着いた時など、出入り口では全身をはたいて花粉を落としましょう。髪や服に花粉が付着したままだと、室内に入ってからも症状が続きます。できるだけ室内に持ち込まないよう意識します。
特に髪の毛には花粉が溜まりやすいので、帽子をかぶると最後にはたき落とすのが簡単です。
不要の外出を避ける
花粉飛散量が多い時期は、不要の外出は避けた方が無難です。マスクや帽子などで肌を覆っても、症状が出やすく悪化しやすいからです。
布団は室内で干す
花粉が飛ぶ時期は、布団を外に干さないようにしましょう。花粉症の症状が出ている時には、花粉がたっぷり降り積もった布団では寝られません。室内の窓際に干すか、布団乾燥機を使って乾燥させます。ダニ対策にもなるので布団乾燥機がおすすめです。
十分な睡眠時間を確保
症状が出ている時期は体が疲れやすいです。連続してくしゃみをするだけでもエネルギーを使います。また疲労やストレスが溜まっていると花粉症になりやすいです。睡眠時間をたっぷり取り、体の回復に努めましょう。
初期段階で対策する
花粉症は最初が肝心です。花粉のハイシーズンが訪れる前から対策しましょう。花粉が飛び始める前から内服薬を飲み始めると、飛び始めてから服用するよりも症状が軽くなります。まずは病院を受診してアレルゲンを特定し、次のシーズンからは事前に相談に行きましょう。
天気予報をチェックする
雨上がりの晴れる日・風が強い日・空気が乾燥している日は花粉が多く飛びます。外出する場合は、いつも以上に防護して行きましょう。帽子・ゴーグル・マスク・ストール・手袋など多彩な対策グッズがあります。
空気清浄機を使用する
近年は空気清浄機が一般的になり、価格も手ごろになりました。花粉が飛ぶ時期は空気清浄機を設置すると良いです。花粉のほか、ハウスダストや大気汚染物質も除去してくれます。