女性の約10%が鉄欠乏性貧血といわれます。この鉄分不足による貧血は、めまいや立ちくらみだけではなく、薄毛の原因ともなるのです。今回はその理由についてご説明いたします。
鉄欠乏性貧血とは
鉄欠乏性貧血とは、血液の中の赤血球に含まれるヘモグロビンの材料である鉄分が不足して、ヘモグロビンが生成されなくなることで起こる貧血です。
このヘモグロビンが不足すると、全身に酸素が送られにくくなります。その結果、血液循環が悪くなり、手足の先が冷えたり、心臓から遠い頭部まで血液がまわらなくなります。ここまでくると、顔面も蒼白してきます。
症状としては、身体のだるさ、疲れやすい、頭痛、めまい、イライラ、気分の落ち込み、集中力が続かない、冷え性、顔面蒼白、肌荒れ、口角炎、抜け毛、スプーン爪、動悸・息切れなどの症状が出ます
貧血かも!?と自覚したら、下瞼裏返してみて、粘膜が白っぽかったら貧血であることがあります。
女性が鉄分不足(鉄欠乏性貧血)に陥る原因
妊娠中、授乳期による鉄分不足
妊娠中や授乳期は、赤ちゃんにも鉄分を送るようになるので、お母さんの鉄分が不足しがちになります。
頭皮の血行が悪くなることで冷えが起こり、毛根部分に栄養が行きわたらなくなります。
出血による鉄分不足
女性は毎月の生理で多くの出血があります。また、それ以外にもケガをして大量に出血したり、ガン・潰瘍などで消化器官から出血することも考えられます。
多くの出血があると、貧血も起こりやすくなります。
鉄分が不足している
日々の食事で鉄分が不足してしまうと、貧血になりやすくなります。ダイエット中も鉄分が不足しがちになります。
成長期に鉄分不足になりやすい
急激に成長する成長期は、血液の量も増える一方、鉄分の需要が増えて鉄分不足になりやすいことがあります。
鉄分と薄毛・抜け毛の関係性は?
ではなぜ、鉄分不足で薄毛や抜け毛が出やすくなるかというと、鉄分が不足するとヘモグロビンが作られなくなることで、全身に酸素や栄養が運ばれなくなり貧血状態になり、頭皮や毛根にも酸素や栄養が行き渡らなくなります。
髪の毛は毛根の毛母細胞が細胞分裂することで成長するのですが、頭皮の毛細血管から酸素や栄養を受け取る際に、運ばれてこない状態になると、髪の毛の成長が妨げられて、抜け毛や薄毛の原因になるということです。
また、鉄分不足になると、「休止期脱毛」になりやすくなります。この休止期脱毛というのは、成長期だった髪の毛が突然休止期になってしまって、髪の毛が成長しなくなって抜けてしまうことです。
この鉄分不足による薄毛なら、中には、この鉄分不足を解消することで、抜け毛が止まって薄毛が解消されることもあります。
え!?白髪も増えるの?
鉄分は、黒髪の中に含まれているメラニン色素の中に多く含まれています。
鉄分が不足してしまうと、薄毛だけでなく白髪にもなりやすくなります。
予防する食生活のポイント
鉄分の摂取を意識
当たり前ですが、鉄分の摂取を意識しましょう。これには、食品から摂取する以外にも、サプリメント、病院で鉄剤を処方してもらうなどで鉄分を補います。
特に鉄剤は、吐き気、下痢、便秘、便が黒くなるなどの症状が出ることもあります。
食事では、肉類や魚類の「ヘム鉄」、野菜や海藻類などに含まれる「非ヘム鉄」に分けられ、ヘム鉄の方が吸収率が高いです。
ビタミンCと一緒に摂取
ビタミンCと非ヘム鉄を一緒に摂取することで、ヘム鉄に変える働きがあるので、吸収が良くなります。
イチゴ、キウイ、リンゴなどに含まれる果実酸やクエン酸が非ヘム鉄の吸収を高めてくれるので、特にお勧めです。
鉄分の吸収を阻害してしまう食べ物もあるので注意を!
1.タンニン
紅茶、緑茶、コーヒー、赤ワインにはタンニンが含まれています。このタンニンは水に溶けにくく鉄分とくっつきやすい性質があるので、鉄分の吸収を阻害してしまいます。
2.シュウ酸
キャベツ、サツマイモにはシュウ酸が含まれています。このシュウ酸は鉄分の吸収を阻害してしまいます。
シュウ酸は水に溶けやすい性質があるので、湯通しすることで抜けていきます。
3.食物繊維
食物繊維を多く摂ることで、鉄分を排出させてしまうことがあります。あくまで過剰摂取した場合の話なので、それほど気にすることはありません。
薄毛が気になる方!もしかしたら鉄分不足によるものからきているかもしれません。
厚労省による鉄分の1日の推奨摂取量は、成人男性で7.7mg、成人女性で10.7mgとされていいます。
野菜や海藻類の非ヘム鉄もビタミンCと一緒に摂取することで、ヘム鉄に変えてくれるので効率よく摂取していきましょう。
鉄分不足からきている薄毛なら、鉄分をしっかり補うことで解消されてくるかもしれません。