肩や首を回すと関節がポキポキとなり、気持ちよくなるということはないでしょうか。また手の指の関節がよく鳴るという人もいます。しかし実はこうやって関節を鳴らすことは、体にはあまりよくないということを知らずに鳴らしている人も少なくありません。そこで今回は、なぜ関節が鳴るのか、そして体にどんな影響があるのか詳しくご紹介します。
関節ポキポキが気持ち良い理由
関節が鳴るときには、指の関節や首の関節を自分で鳴らす場合、そして整体などで他人に鳴らしてもらう場合、そして腕を上げたときや、股関節を曲げたときに勝手に鳴る場合とがあります。
この中でも鳴らして気持ちが良く、くせになってしまうのが自分で関節を鳴らす場合です。
自分で関節を鳴らすときの特徴
・勢いをつけて動かしたときに鳴る
・連続して鳴らすことはできない
・鳴らしても痛みを感じない
・鳴らした後はすっきりする、気持ちいい
関節には血管や神経が通っていないため、関節を鳴らすことで関節を引き延ばすストレッチをしても、痛みではなくむしろ気持ちよさを感じます。さらに固まった関節が楽になるために、関節を鳴らせば気持ちよくなる、と脳が学習してしまいます。
しかし実際に関節を鳴らすことは関節にとって悪影響を与えているため、くせになるほど鳴らしている場合には、早急にそれを止める必要があります。
関節ポキポキの音のメカニズムと悪影響
関節を鳴らしたときの音の正体は、キャビテーションと呼ばれるものです。これは「泡がはじける」という意味で、炭酸をグラスについだときに、パチパチと音を立ててはじけているあの現象が関節内に起こっていることをいいます。
関節は、骨同士がぶつかることのないよう関節液が満たされています。しかし関節を動かしたときに関節内に圧力がかかり、気泡が発生します。そしてさらに大きく関節を動かしたときに、この気泡が弾けて音を立てます。これが関節の鳴る音です。気泡は小さなものですが、それでも弾ける瞬間には1トンもの力が加わります。この衝撃で関節が破壊されてしまうのです。
もちろん破壊される部分は小さなものであり、日々の新陳代謝で骨は修復されていきます。しかしこの破壊が繰り返されることで修復がどんどん追いつかなくなれば、指の変形や痛みにつながります。
さらに首や腰の関節を鳴らしている場合、背骨の中に通っている脊髄神経がこの関節の破損で圧迫されるため、手足のしびれやめまい、頭痛といった症状に加え、歩行が困難になったり、呼吸困難の症状が出ることもあります。最悪の場合は命の危険にさらされてしまいます。
また関節を鳴らすことで骨が破壊されると、徐々に骨が変形してずれていきます。骨がずれると関節の音がよく鳴るようになり、さらに鳴らすくせが止まらなくなってしまいます。痛みや炎症といった症状が出る頃には、関節の変形がかなり進んでしまっているのです。
関節ポキポキをやめるためには
関節を鳴らすことは、結果的に関節を痛めることにつながります。そのため、早急に鳴らすくせをやめる必要があります。
関節を鳴らさないためにすぐするべきこと
鳴らさないと決める
鳴らしたくなっても、鳴らさないように気をつけることが大切です。関節を鳴らすと関節が破壊される、と繰り返し自分に言い聞かせましょう。
姿勢を正す
背中が丸まっていると、肩や腰がこりやすくなり、伸びをすると音が鳴りやすくなります。日頃から背筋を伸ばすことを心がけるようにすると、こりがたまりません。
指が鳴る場合はボールを握る
指の関節を鳴らさないようにするには、指のストレッチでこわばりを取ることが必要です。柔らかいゴムボールを手で握り、ゆっくりと握りしめたり広げたりしてみましょう。
なるべく歩くようにする
首の重さを支えきれなくなると姿勢が悪くなるため、首や肩にこりを感じるようになります。同じ姿勢をとり続けることのないよう、こまめに歩くなどして、こりをためないようにします。
関節を鳴らさないためにおこないたいストレッチ
関節は自分で鳴らそうと思っていなくても、腕や肩、首などを動かしているときに鳴ることがあります。これは関節の動きが悪くなっていることからも起きますので、まず関節の動きをスムーズにする必要があります。
そこで関節のストレッチをおこなうと、また関節が鳴りやすくなってしまうので、関節が働く土台の場所を整えていくことが必要となります。
関節とその土台になっている骨
股関節
骨盤の動きをスムーズにすることで、股関節が鳴ることを防ぐ
肩の関節
肩甲骨をスムーズに動かせるようにすることで、肩や首を鳴らさないようにする
膝の関節
太ももをスムーズに動かせるようにすることで膝の痛みをなくす
股関節のストレッチは、股関節のバランスを正常に戻します。
骨盤のストレッチ方法
1.仰向けに横になり、足は膝を立てます。
2.腰の幅程度に足を開き、右側に両足を倒します。
3.痛みを感じる場合は、痛みを感じないところまで傾け、5秒間キープします。
4.足を元に戻し、今度は左側に倒し、同じように5秒間キープします。
5.左右1セットで10回ほどおこないます。お尻が浮かないように注意しましょう。
腰の痛みにも効くストレッチ方法もありますので、こちらの動画を参考におこなってみましょう。
肩甲骨のストレッチ方法
肩をすくめる動作でストレッチしましょう。このときに首を引っ込ませるのではなく、肩甲骨を上に引き上げるようなイメージで動かすと、肩や首が楽になります。
肩甲骨を上げるストレッチに加え、肩甲骨を回すこちらのストレッチもおすすめです。
太もものストレッチ方法
1.仰向けに横になり、片足を持ち上げます。
2.ゆっくりと膝を伸ばし、まっすぐにします。
3.そのまま足をゆっくり下ろします。
4.慣れてきたら心持ち外側に向けて足を下ろすようにしていきましょう。
左右1セットで10回ほどおこないます。
痛みを感じる場合は無理をせず、入浴後など体が柔らかいときに数回からでも始め、毎日おこなうようにして関節がならない体作りをしていきましょう。