最近、頭皮が痒く赤く炎症を起こし、フケがたくさん出ている・・・。
もしかしたら、それ脂漏性皮膚炎によるものかもしれません。頭皮が痒くなるのも嫌ですが、フケが大量に出るのでは困ったものですね。
この脂漏性皮膚炎の症状、原因、改善させる方法を説明したいと思います。
「脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)」の症状と原因
脂漏性皮膚炎とは
脂漏性皮膚炎とは、皮脂をエサに増殖する常在菌の一種のマラセチア菌という真菌が繁殖し、頭皮が痒みや炎症を起こしたり、フケが出る皮膚疾患です。
どの様な症状なのか
初期症状としては、頭皮が痒くなって炎症を起こします。大きいベタついたフケがたくさん出ます。
悪化すると、炎症が更に酷くなり、膿を伴うこともあります。もっと酷くなると、「脂漏性脱毛症」という脱毛症になることもあります。
頭皮もベタついて、臭うようになります。
皮脂分泌が過剰になり出す季節から症状が出始めることが多いです。なんと、皮膚科の患者さんの約2~3%は脂漏性皮膚炎といわれるくらい、意外に多い皮膚疾患なのです。
かかりやすい人は?
男性に多く見られ、ニキビの出やすい女性にも見られます。男性でも思春期以降や中高年、生後4か月未満の乳児にも見られます。
皮脂分泌の多い方に見られる傾向があります。
どんな場所に出来るのか
皮脂分泌の多い場所に出やすく、頭皮、額、小鼻の周り、こめかみ、首回り、胸、背中上部、ワキなどに見られます。中でも、頭皮や小鼻の周りが多いです。
原因は?
人間の身体に常に付着している常在菌という菌の一種マラセチア菌という真菌による仕業で、このマラセチア菌は皮脂をエサに増えていきます。
皮脂が増えることで、マラセチア菌が繁殖し、このマラセチア菌が出す脂肪酸が頭皮を刺激して炎症や痒みを引き起こします。
もっと具体的に、マラセチア菌が増えてしまう原因には・・・
1.洗髪が不十分
皮脂分泌が過剰でありながら、洗髪がきちんとされていないとマラセチア菌が繁殖してしまう結果に。
2.遺伝によるもの
遺伝で肌質が似ることもあります。遺伝で皮脂分泌が多い体質であると、脂漏性皮膚炎になりやすい要素があります。
3.ストレス
ストレスのある生活を送ることで、免疫力が下がって、脂漏性皮膚炎になりやすくなったり、回復に時間がかかることもあります。
4.免疫力が下がっている
免疫力が下がることで、マラセチア菌が増えて活発化してしまいます。
脂漏性皮膚炎を予防するヘアケア
シャンプーの仕方を見直す
洗髪するのが面倒などの理由で、洗髪を怠ったり、洗髪をしてもきちんと洗えていないことで、脂漏性皮膚炎に拍車をかける結果にもなります。
爪を立てたり、ただ撫でるように洗ったり、ゆすぎがきちんと行えていないなどないでしょうか?
爪を立てずに指の腹で優しく丁寧に頭皮をしっかり洗います。ゆすぎもしっかり行います。洗うお湯の温度も熱すぎると、皮脂が取られ過ぎてしまうので、人肌位の38度位がベストです。
回数はどの位の頻度で洗えばいいのか
皮脂が出るのが気になって、1日何回も洗わないで下さい。何度も洗うことで、皮脂がなくなり、頭皮は皮脂がなくなってしまったとばかりに更に皮脂を分泌させようとします。
どんなシャンプー剤が良いのか
頭皮に炎症があって痒みが出ている状態なので、あまり刺激の強いシャンプーでは頭皮が荒れてしまいます。
脂漏性皮膚炎の原因菌のマラセチア菌を抑えてくれるシャンプーもあります。また、低刺激のアミノ酸系のシャンプー、ノンシリコンタイプのシャンプーなどもいいです。リンスやトリートメントは油脂なので、しばらくは控えます。
洗髪後はきちんと乾かす
洗髪後、そのまま乾かさずに寝てしまうことはありませんか?
髪の毛が湿ったままでは、雑菌が繁殖しやすくなります。濡れている髪の毛は、頭皮の温度と湿度でマラセチア菌も繁殖してしまいます。
洗髪後は髪の毛を8~9割方乾かしましょう。
生活習慣や食事でも予防できる!
ストレスを溜めない
ストレスが多い生活を送っていると、ストレスは免疫力を低下させたり、ホルモンバランスを崩して皮脂分泌が多くなってしまいます。
出来るだけストレスのない生活を心がけましょう。ストレスは誰にでもあることですが、出来たらストレスになるようなことは避ける、ストレスは早めに発散するなどしましょう。
ストレス発散方法は、音楽を聴いてリラックスしたり、ショッピング、お友達とのおしゃべり、飲んだり、カラオケをするなどひとそれぞれ解消法があります。自分に合った解消法でストレスを撃退しましょう。
睡眠時間をしっかり確保
睡眠時間が不足していると、脂漏性皮膚炎の回復も遅れます。
出来るだけ早寝早起きを心がけ、夜22時~午前2時の間に熟睡出来ているのが理想です。この時間帯は「睡眠のゴールデンタイム」と呼ばれ、自己修復力が高くなる時間帯になります。
脂っぽい食事は控える
脂っぽい食事を好んでよく食べるようになると、皮脂分泌も増えます。皮脂分泌が増えれば、マラセチア菌に餌を与えてしまうことになるので、過剰に皮脂が出ないように心がけることも必要です。
ビタミンB2・B6の摂取
ビタミンB2・B6は過剰に出る皮脂分泌をコントロール働きがあります。
病院での治療は?
何科に行くべき?
基本的に皮膚科へ行きます。単なる痒いだけ、フケが出ているだけだからと放置せず、早めに皮膚科へ行きます。
乳幼児も皮膚専門の皮膚科へ行くことをお勧めします。
どんな薬を使うの?
1.ステロイド剤(副腎質ホルモン剤)
炎症を抑える薬です。あまり長い期間使わないようにすることが多いです。
2.抗真菌外用薬
まず初めに抗真菌外用薬が使われることが多いです。
ケトコナゾールクリーム(ニゾラールクリーム)という副作用の少ない薬が使われることが多いです。
1~2週間程で改善効果が見られます。
この抗真菌外用薬が人によっては合わないこともあり、その際短期間ステロイド剤を使うこともあります。
3.ビタミンB2やB6の服用
ビタミンB2(フラビタン)、B6(ピドキサール)が処方されることもあります。
これは皮脂分泌をコントロールする目的で処方されます。
脂漏性皮膚炎は治るの?
脂漏性皮膚炎はそのままにしても自然治癒することはほとんどありません。女性は妊娠出産で体質が変わることで、脂漏性皮膚炎にかかることもあります。きちんと治療をすれば、完治まで成人なら3週間ほどかかります。
また、一度治ったと思っても再発することもあります。この脂漏性皮膚炎、一度かかると、適切な治療をすれば治りますが、治療を止めるとしばらくして再発することもあります。一度治ったら、今度は再発しないように予防も心がけましょう。